2026年、春。10年目の空に寄せて—南阿蘇「Minaaso マルデン」がつなぐ想い
こんにちは、IRISEE22です。
桜のつぼみがふくらみ始めると、決まって思い出す景色があります。 今から5年前、2021年の3月末のこと。猫マサくんに連れて行ってもらった、南阿蘇にある「Minaaso(ミナアソ)マルデン」でのひとときです。
長年愛された老舗の、新しい場所での再出発

流木を組み合わせたアート的な看板が、訪れる人をあたたかく迎えてくれます。 実はこのお店、震災前は阿蘇大橋のたもとで長年愛され続けてきた老舗でした。
2016年の熊本地震を経て、かつての店舗を離れることになった店主さん。それでも「阿蘇のあか牛の美味しさを届けたい」と、キッチンカーでの営業から再スタートを切られたそうです。そうした一歩ずつの積み重ねを経て、2020年6月に現在の南阿蘇村でグランドオープンされました。私たちが訪れた2021年3月は、ちょうどオープンから約9ヶ月後のこと。

駐車場の片隅には、「PRAY FOR JAPAN」の文字を纏ったキッチンカーが静かに佇んでいました。あの日々を忘れず、前に進んできた証のように、その緑の車体が春の光の中に輝いていました。
私自身も震災を経験し、仕事の場を変えながら歩んできた一人です。だからこそ、キッチンカーから再びお店を構えるまで前を向いて歩んでこられた店主さんの、静かな情熱。あの穏やかな空間には、そういった想いが満ちていたのだと、今改めて感じています。

木の温もりあふれる外観と、開放的なウッドデッキ。青空の下、テラスでいただくお食事は格別です。目の前には、今にもこぼれ落ちそうなほど満開の桜。

お庭にはハンモックが揺れ、木々には可愛らしい鳥の巣箱がそっと置かれていました。澄み切った空気の中で春の風を感じながら過ごす時間は、心がゆっくりほどけていくような心地よさでした。
五感で味わう、一皿一皿の誠実さ
マルデンの料理の根幹にあるのは、素材への真剣な向き合い方です。メインに使われるのは、阿蘇の広大な草原でのびのびと放牧された高品質なあか牛ブランド「阿蘇王」。その赤身ならではのみずみずしさと旨みは、炭火でじっくり焼き上げることで最大限に引き出されます。付け合わせの野菜も、四季折々の南阿蘇産・無農薬有機野菜を使用。一皿ごとに、この土地への誇りと愛情が感じられます。
あの日いただいたお料理の美味しさは、今でも鮮明に思い出せます。
あか牛100%の贅沢なハンバーグ

熱々のスキレットで運ばれてきたのは、「阿蘇王」を100%使用したハンバーグ。炭火でじっくり焼き上げられたハンバーグは、お箸を入れると肉汁がじゅわっと溢れます。赤身本来の濃厚な旨みが口いっぱいに広がり、思わず「美味しい…」と声が漏れてしまうほどの幸せでした。

南阿蘇の恵みが詰まった前菜

前菜として運ばれた南阿蘇産野菜のサラダは、ラディッシュ、人参、ブロッコリーなど彩り豊か。黄色いポタージュスープとともに、素材の鮮やかさが食欲をそっと引き立ててくれました。
分け合う楽しさ、土鍋で炊くご飯

炊き立てのツヤツヤのご飯が土鍋ごと運ばれてくる演出も、食卓をぱっと明るくしてくれます。蓋を開けると湯気が立ち上り、ツヤツヤに炊き上がったご飯の香りが広がります。こういう小さな演出が、食事をより豊かにしてくれるのだと感じました。
上品な甘さに包まれて

食後のデザートは、Staubのミニコットで提供されたティラミス。ふんわりとしたカカオの香りの中、苺が一粒添えられていました。器のひとつひとつにまでこだわりが宿る、そんなお店です。一皿ごとに「良いものを届けたい」という変わらぬ想いが伝わってくるようでした。
食後のひとときも、丁寧に

デザートの後には、すっきりとしたアイスコーヒーで一息。慌ただしい日常を忘れ、南阿蘇の空気の中でゆったりと過ごす贅沢なひとときでした。
この春、熊本の自然に癒やされる食事のひとときを
2026年の4月、熊本地震から10年という大きな節目を迎えます。4月11日には、復興への願いを乗せてブルーインパルスが熊本市の上空を舞う予定です。
かつてその飛行を自宅から眺めたとき、力強くも美しい景色に、心がふっと軽くなったことを覚えています。様々な困難を乗り越えてきた私たちにとって、今年の春は、これまで以上に心に深く刻まれるものになるはずです。
私の5年前の思い出が、この春に熊本・南阿蘇の自然の中でゆっくりと食事を楽しみたいと考えている方の、小さな参考になれば嬉しいです。
かけがえのない日常の尊さを、今年も南阿蘇の桜が静かに教えてくれそうです。
【訪れる方へ】
※この記事の写真は2021年3月末に撮影したものです。現在とはメニューや価格が異なる場合があります。お出かけの際はぜひ公式サイトで最新情報をご確認ください。
阿蘇あか牛ステーキ Minaaso マルデン
住所|熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽5277
電話|0967-65-8557
営業時間|ランチ 11:30〜13:00 / 13:15〜14:45
ディナー 18:00〜19:30
定休日|水曜定休(ディナーは不定休)
公式サイト|https://www.minaaso.com/
※ランチ・ディナーともに完全予約制です。
🌸 2026年・南阿蘇の桜情報
南阿蘇は熊本市内より標高が高いため、桜の開花は例年より数日遅め。ソメイヨシノの見頃は3月下旬〜4月上旬が目安です。
マルデン近くの桜スポットとして、車で約10分の「観音桜」(南外輪山の美しい一本桜)や、約15分の「南阿蘇桜公園(アスペクタ)」があります。3月29日にはアスペクタで「貞春桜まつり2026」も開催予定です。
なお、南阿蘇のシンボル「一心行の大桜」は、2026年は樹木の治療のため4月15日まで立入制限中です。お出かけの際はご注意ください。

